モデリングをしてみたい!
けれどどんなソフトを使用したらいいか分からない。
そんな方のために、モデリングに使用するソフトについてお話しします。
オープンデスクに来ている学生に話を聞くと、
今はrhinocerosを使用する学生が増え、sketch upを使用する学生は減ってきているように感じます。
近年では、建築の案を考える際に、
平面図を書いてから外観の形を考えて行くのではなく、
まず形を考えてCGで作成してから、平面図を作成する学生が増えてきています。
CG技術の向上と普及、ザハハディドのように平面からではなく、いきなり立体から建築をつくる建築家が台頭した影響もあるのではないかと思います。
また、rhinocerosは形をつくる自由度が高く、
Grasshopperというrhinocerosのプラグインを使用することであらゆる形のスタディが複数同時に作れたりするので、
rhinocerosはつくれる形が自由で効率的!
形をつくる自由度が比較的低いsketch upはオワコンだ!
そんな風に考える人も多いかもしれません。
但し、僕は決してそうは思いません。
CG作成経験のある学生の設計課題に使えるソフトはどれですか?
と聞かれたら、
rhinocerosです。
と答えます。
このソフトであれば、
ある程度は図面も書けるし、形の自由度が高く、設計課題としては、新鮮な案、がつくりやすくなるからです。
実務に使えるCGはどれですか?
CGをこれからはじめたい人におすすめのソフトは?
と聞かれたら、
断然、sketch upです。
と答えます。
これからその理由を説明いたします。
理由①実務ではCGで形から建築をつくることはほぼない
学生の設計課題で求められるものは、
学生ならではの発想の自由度の高いものや新鮮さですが、
実務の設計でまず求められるものは、
お施主さんの要求を確実に満たすことであり、
その後で、事務所の特色にあったデザインがはじまります。
お施主さんの要求には様々なものがありますが、
住宅の設計にせよ、公共建築の設計にせよ、
求められるものは、
どんな部屋が必要か、
その部屋の大きさは〜以上必要だ、
と面積に関わるものが大きいです。
ふんだんに予算があるプロジェクトであれば可能かもしれませんが、
適切な予算の範囲内で進めるプロジェクトにおいては、
形を先につくり、平面を後から考えていく設計では予算の調整がとても難しくなります。
そのため実務では、平面図を書き、その図面を元にお施主さんの要望を満たしているかチェックを行い、その後にCGをつくっていく進め方が大多数を占めます。
そのためCGをつくる段階では、作図ソフトで作成した図面が手元にある状態であることがほとんどなので、
CGソフトに作図能力が備わっていることは、あまり利点にはなりません。
理由② 実際の建物は複雑な形状でつくられることはあまりない
街を見渡してみてください。
四角や丸以外の自由な曲線でつくられている建物がどれほどあるでしょうか。
どれだけ複雑につくられているように見える建物も、
要素を分解してみると、
四角や丸などシンプルな幾何学で組み合わさってつくられていることが見えてくると思います。
四角や丸など、シンプルな形状でつくられる建物が多いのは、
創意工夫や新鮮さに対する追求が足りなかったからではないと思います。
シンプルな形状が経済的に合理的だから、これが理由の大きな1つだと思います。
自由な立面を謳う近代建築の時代にも、
矩形で構成される建物が多かったのは、
建物は、経済的な制約からはなかなか離れられないからだと思います。
だからこそ、自由な形状に惹かれるし、
挑戦したいという思いは出てくるけれども、
現実に実務の場で行う設計において、
自由な形状をつくることはあまりない、
その事実は知っておくとよいと思います。
そういった理由から、
rhinocerosの、
自由度の高い形状がつくれるという特徴は、
実務の範囲内においてはあまりつよい利点にはならない、とも言えます。
理由③ sketch upは習得が早い
スケッチアップをおすすめする最大の理由は、
かなり早くに習得ができるからです。
僕は母校の生徒を対象に、CGのやり方を伝える勉強会を定期的に行っていますが、
みなさん大体2日程度やり方を伝えるだけで、
モデリングができるようになります。
rhinocerosのように、
コマンドが多いソフトではそうはいきません。
CGを習得する上で最も大きな障壁になるのは、
細かい操作の部分でつまづいてしまい、イヤになり、挫折することです。
rhinocerosの自由度の高さは、操作するコマンドが多いことで生まれます。
そのコマンドの多さが、多くの人にとっては、挫折の原因にもなっています。
そのため、まずはsketch upの技術を習得することをおすすめしています。
僕自身は学生の頃にsketch upの技術を習得し、
アトリエ設計事務所に就職後、働きながらrhinocerosの操作を学びましたが、
sketch upでモデリングの特徴は掴んでいたおかげで、
rhinocerosの技術習得はさほど大変ではありませんでした。
習得に時間はかからないので、
どうしてもrhinocerosに憧れている学生も、
sketch upでモデリングの感覚を先に掴むようにすると、
挫折なくCGがつくれるようになるのではないかと思います。
そして実務でCGをつくるようになってから、
sketch upでつくれない建物はほとんどないな、
ということにも気づいていくと思います。
そのためまずは、
sketch upでモデリングをやる方法、を次の頁から記していこうと思います。
実務に即すよう、
無駄なく効率的に、設計変更に耐え得るような方法を、
独学で学びつつブラッシュアップしていった方法なので、
設計課題にも実務にも活きる技術を、短期間で習得できるようになると思います。
モデリングは、
図面データをsketch upに取り込むことからはじめていきます。
sketch upの有料版を使用することで、
図面をモデリングソフト上でかく手間が省けますので、
まずはsketch up Proを購入することをおすすめしています。
作図にかかる時間をなくし、精度の高いCGをつくることができるようになります。
※レンダリングソフトの購入は、
モデリングの技術を習得してからでも遅くないと思います。
僕自身は独学で学びつつ、プレゼン用CGの作成を繰り返す度にブラッシュアップしたので、
とても時間がかかりましたし、体力もかなり使いました。
この情報を共有することで、皆さんが楽に楽しくCGの技術が習得できるようになることを願います。
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「CGをはじめよう!けれどまずは何を用意すればいいんだろう、と思う方へどんな種類のソフトがあるのかおすすめを紹介します。」
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