2022-06

オープンデスク

オープンデスクに行ったがあまりいい経験ができなかった、という方へ。考えられる原因についてお伝えします!②

オープンデスクに参加したけれどいい経験を得られなかった原因は、 ① 建築家とスタッフとの間にある「ズレ」 ② 建築家と建築学生との間にある「ズレ」 にあるのではないか、という話を前頁ではしました。 ここでは、 ②の「ズレ」をどのようにしたら解消できるかについて、 お話していこうと思います。 やることは下記の2つだけです。 ・自分がオープンデスクにどんな経験や機会を期待しているかを事前に整理する ・建築家に事前に自分が期待していることを伝える やることはただ、この2つだけです。 これからオープンデスクに参加する方は、 何に期待できるのかが分からないし、 伝え方も分からない、という方が多いと思いますので、 まずはどんなことに期待する建築学生が多いか、 を記してていこうと思います。 大きく分けると下記の3つなのではないかと思います。 まずは自分がa,b,cのどれに近いかを把握することからはじめるとよいと思います。 a.そもそもアトリエ建築事務所で働くことがどういうものかを知りたい b.好きな建築家の元で経験を積んでみたい c.就職活動としてその事務所で働くきっかけにしたい a.アトリエ建築事務所で働く環境について知りたい 建築事務所のオープンデスクに初めて参加する人のほとんどはここに該当すると思います。 ここに該当する方のまず知りたいことは ・オープンデスクで何をやるのかをまずは体験して知りたい ・いつか実務で働くために学生のうちに何をやるべきか知っておきたい ・自分がアトリエ事務所で働くことができそうか試してみたい ・ブラックとはよく聞くけれど実際どんな就業環境なのか見てみたい などなど、、、ではないかと思います。 こういう方が「ズレ」を解消するには、 オープンデスクは初参加であり、 そもそもオープンデスクでどういったことが経験できるかが分からない。 けれど、アトリエ建築事務所で将来働くことを考えているので、 建築事務所で働く事がどういうことなのか、 知ることができたらと思い参加してみました、 のように素直にはじめに伝えることが大事なのではないかと思います。 皆さんが知らないことが分かれば、 建築家の方から、こんなことができるよ、とか、現場に行きたい?、などと提案してくださることもあります。 ただ何も伝えずにオープンデスクに応募するより、 建築家の方からの提案はずっとしやすくなります。 黙々といきなり作業をはじめるのではなく、 まずは何も知らないので知りたい!ということを建築家に伝えることが大事だと思います。 知らないことを伝えるだけで大きく状況は変わると思います。 b.好きな建築家の元で経験を積んでみたい 建築そのものが好きな建築学生だと、 自分の好きな建築をつくっている場がどのような環境で生まれているのか、 どういう過程を経てその建築が生まれているのかを知りたい、 そういった動機で参加する方もいるかと思います。 僕自身は好きで尊敬のできる建築家のところにだけオープンデスクに参加していたので、 ほとんどがb.に該当していました。 こういう方が「ズレ」を解消するには、 自分がその建築を本当に好きだということを建築家の方に伝えることが大事だと思います。 当たり前でシンプルすぎるかもしれませんが、 当たり前でシンプルな、好きな建築をしっかりと好きだと表現している学生を僕は見たことがありません。 オープンデスクに応募している時点で思いは伝わるだろう、 と考える学生は多いようですが、 建築家の側からすると、 好きな気持ちを表現せずに淡々と作業のみをする学生は、 この事務所でなくてもいいんだろうな、 アトリエ事務所で働くのがどういうことなのかを知るために参加してるんだろうな、 と見えていることが多いです。 当然だとは思いますが、 自分の設計を本当に好きで来てくれている人と、 漫然とオープンデスクに来ている人とでは、 建築家側の、何かしてあげたいという気持ちは変わってくると思います。 そのアトリエ事務所の建築のどういうところが好きなのか、 自分の設計課題をやる際にこういうところを参考にさせてもらってる、 など、 具体的にその事務所の建築が好きなところ、 その建築家の尊敬しているところをしっかりと表現し、伝えている人はどれほどいるでしょうか。 伝えていないものは伝わらないので、やはり伝えた方がよいです。 お互いの相性やタイミングがあえば、就職に繋がることもあります。 c.就職活動としてその事務所で働くきっかけにしたい アトリエ建築事務所への就職は他の業界の就職とは異なります。 ・年中いつでも募集はしている ・人事部などがないため、建築家の人が気にいるかどうかで採用不採用が決まる などが特徴的なところでしょうか。 この、気にいるかどうか、の基準が建築家により異なり、 技術があるかどうか、人当たりがいいかどうか、実務経験があるかどうか、他の事務所の色に染まっていないかどうか、 など、どこに重きを置いているかが異なります。 事務所ではどういう人をスタッフとして求めているのか、 自分が事務所の雰囲気に合うかどうか、 それを知るために、就職活動として、オープンデスクに参加したい方もいるかと思います。 その方に限っては、 初めから、働きたいと思ってます!というのは確かにリスクもあるかもしれません。 自分が合わないな、と感じたら辞退をする可能性もあると思うからです。 実際に、オープンデスクに来た学生にオープンデスクに参加した理由について話を聞くと、 そもそもアトリエ事務所に行くかどうか考えている段階で、、、 就職活動中ではあるんけれどもまだどこかは決めかねていて、、、 と曖昧な回答をする人がほとんどなのは、 自分から辞退する可能性を残しておくため、という理由も大きいのだろうと感じます。 但し、この曖昧な姿勢が長く続くと、 建築家の側からすると、 うちに入りたいようにも見えるし、そうでもないようにも見えるし、どちらなのだろう。 そもそも入りたいなら、ハッキリ伝えに来ればいいのに。自分から来るぐらいの積極性もなくて、うちに来るかどうか迷うぐらいなら、どの道スタッフに採用しても続かなさそうだな、 とネガティヴな印象を持たれはじめてしまいます。 就職活動としてオープンデスクに参加しているのであれば、 様子見をするのははじめの1週間程に留めて、 この事務所に応募するかどうかを早々に決断して、 できる限り早い段階で建築家やスタッフに入社したいという意思を伝えることが大事だと思います。 建築家に話すのが緊張するのであれば、 今もスタッフを募集してたりするのでしょうか? とスタッフに聞きつつ自分の意思をすこしずつ伝えるのもよいと思います。 やはり就職活動としてオープンデスクに参加する場合でも、 重要なのは、自分がどういう思いでオープンデスクに参加しているのかを伝える、 ことだと思います。 以上、a〜cの場合それぞれについて、 ② 建築家と建築学生との間にある「ズレ」をどのように解消するか、 についてまとめてみましたが、 どの場合でもやることはやはりただこの2つになると思います。 ・自分がオープンデスクにどんな経験や機会を期待しているかを事前に整理する ・建築家に事前に自分が期待していることを伝える とてもシンプルな2つですが、 このシンプルな2つのことをしっかりとしている人がほとんどいません。 オープンデスクに参加したけれど、 ・いい経験をなかなかできている気がしない。 ・建築家やスタッフとの距離が縮まらず、就職に繋がらない という経験がある人は、 まずはこの2つだけ意識して参加してみると、 オープンデスクを通して得られるものが変わってくると思います。 オープンデスクの方が来てくれることで、 事務所には新鮮な空気が流れるし、 建築家は想像している以上に、今の学生はどういうことに興味があるのかな?、ということに興味を持っています。 初めは抵抗感があるかもしれませんが、 建築家やスタッフに遠慮する必要はないです。 是非、アトリエ事務所のオープンデスクに積極的に参加してみてほしいと思います。 次の頁では、 建築事務所に就職したいけれど、 きっかけが掴めない人に向けて、 建築事務所への就活のあり方についてまとめておきたいと思います。
オープンデスク

オープンデスクに行ったがあまりいい経験ができなかった、という方へ。考えられる原因についてお伝えします!①

建築学生にオープンデスクについての話を聞くと、 ・勇気を出して申し込み参加したが、建築家やスタッフともあまり話せなかった。 ・やってもやらなくてもいいような作業を振られ、時間を無駄にしたような気がする そんな声を聞くことがあります。 建築事務所での仕事が自分に合うかどうか知りたい、 まずはアトリエ事務所の雰囲気を知ろう!よし! と、勇気を出してオープンデスクに参加して、 あんまり経験にならないし、求められてる感じもしない、 そんな感想を抱いてしまえば、 そもそもアトリエ建築事務所で働くのは向いていないのかも、 そう思ってしまう人が増えてしまっても無理はありません。 近年はアトリエ事務所への就職を志望する学生が減っている、とはよく聞きますが、 オープンデスクに参加する学生は減っているようには思いません。 人を欲しているアトリエ事務所は増えてきていて、 アトリエ事務所で働くことを検討している学生は減っていないのなら、 アトリエ事務所はオープンデスクに来た建築学生にはしっかりと実務に繋がる経験を提供して、 アトリエ事務所で働くことについてしっかり考えてもらうことで、 アトリエ事務所を志望する学生を増やすことができるし、 よりよい建築をつくることに繋がっていくのではないでしょうか。 また建築学生の方々も、 貴重な学生時代の2週間、1ヶ月間をオープンデスクに費やすのであれば、 アトリエ建築事務所のことをよりよく知り、 技術や経験をできる限り得ることは、 今後どんな選択をしていくにしてもよりよい結果に繋がると大事なことだと思います。 アトリエ建築事務所にとっても、 建築学生にとっても、 オープンデスクは有意義な機会となるはずなのに、 お互いにとって不満足な結果となることがしばしばあるのはどうしてなのでしょうか。 最近疑問に思ったので考えてみました。 僕はその原因が「ズレ」にあるのではないかと思っています。 ここではどんな「ズレ」があるのか、 その「ズレ」を解消していくことでどんなことが得られるか、についてまとめ行きたいと思います。 ①建築家とスタッフとの間にある「ズレ」 僕はアトリエ建築事務所のスタッフとしてオープンデスクの方に指示を出させてもらう機会があるので、 事務所の側からみた視点からも見えてきます。 まずこの「ズレ」は、 オープンデスクを応募する人は建築家 オープンデスクに来た学生に指示を出す人はスタッフ であることから生まれます。 先ほどお話した通り、 オープンデスクはアトリエ建築事務所にとってもメリットのある機会です。 なので建築学生は遠慮せずどんどんと参加すべきだし、 得るべきものを得るべきだと思います。 但し、建築事務所のスタッフは基本的に忙しく作業をしていることが多く、 オープンデスクの方に作業の指示をすることが難しいことが多々あります。 建築家がスタッフに、 オープンデスクの方にいい経験を積ませてあげよう、という意識を共有していなかったり、 建築家がスタッフの仕事の具合を考慮せずにオープンデスクの受け入れを行なっていたりすると、 ・作業の指示を出すのは大変だから、単調で時間のかかる作業をひとまずやってて時間を過ごしてもらおう ・お願いできる模型作り作業がないからお願い出来ることが今はないな、 こういう状況が生まれてしまいます。 オープンデスクに参加した方でこのような経験をした人の中には、 ・私が興味を持たれてないからあまりいい扱いを受けられなかったのかな? ・募集してくれてたから行ったけどやることない、て言われた。お邪魔してしまったかな? そう考えてしまう人もいるようですが、 上記のような理由である場合が多いので、 建築学生の皆さんは全く気にする必要がありません。 この「ズレ」はかなり多く、 建築学生の皆さんがアトリエ就職をやめるきっかけにもなっているので、 本当に残念なことだと思います。 ただ、このような状況下でも貪欲に経験を積みたい、 もぎ取りたいという方には策はあります。笑 それは「遠慮」しないことです。 学生に話を聞くと、 お邪魔をしないように声をかけてもらうのを待っていた、 と言う人が多くいます。 とても優しい方々なのだとは思いますが、 仕事を進める上では、待ちの姿勢の方にはスタッフの側から意識して声かけをしなくてはならなくなり、かえって手間をかけている場合が多いです。 日本人は遠慮がいいことであるように思いがちですが、 アトリエ事務所で勤めていて、遠慮がいいことだと思われる場面はほとんどありません。 オープンデスクに限らないことだと思いますが、 手間をかけないようにと考えて消極的にただ遠慮してかえって手間をかけさせるよりも、 気になること等を遠慮せず質問して積極的に関わって、時間をもらってしまった分、より作業を手伝って相手を楽にしてやろう、 と積極的に関わっていくことで関係が築けていくのだと思います。 そうしてお互いに感謝する関係になったら、 自然とご飯にいく関係ができていくのだと思います。 オープンデスクというものの考え方について、 建築家とスタッフの間に「ズレ」があることが多く、 その「ズレ」があることにより、 スタッフから建築学生に積極的に関わってくることがないのであれば、 建築学生の側から、積極的に関わらない限り、 オープンデスクを通していい経験を得ることはできません。 オープンデスクを通して模型やCGをつくることで、スタッフの業務は楽になっているはずです。 積極的に建築家やスタッフに関わり、対価としての経験をしっかり得る方がよいと思います。 お互いのために、遠慮はしない方がよいです。 ② 建築家と建築学生との間にある「ズレ」 オープンデスクに関して、 僕が建築家の方からよく聞かれる質問はこれです。 「何をしてあげたら建築学生のためになるかな?」 建築家の方々は、僕らが思っている以上に、 オープンデスクに来てくれる建築学生にいい経験を積んでほしいと思っています。 ただ、オープンデスクに応募してくれた建築学生が、 何を期待して何がしたくて応募してくれたのか、 分からないために、 よりよい提案ができていない、こういう場合が多いです。 オープンデスクに参加する方の中に、 「今回のオープンデスクでは〜という経験がしたくて応募しました!」 と伝えてからオープンデスクをはじめた方はどのくらいいるでしょうか。 自分の希望することを伝えずに、 相手が察してそれを差し出してくれることは実社会ではほとんどないと思います。 それは当然のことだと理解しつつも、 ことオープンデスクのこととなると、 そもそも自分が何に期待して参加しているのかとあまり分からない、 けれどなんとかいい経験ができたらと期待して応募をする、 そういう建築学生が多いのではないかと、話していると感じます。 伝えていないものを相手からもらえることはほぼないと思います。 ここで生まれる、 建築家と建築学生との間にある「ズレ」に関しては、 皆さんの準備によって解消することができます。 ・自分がオープンデスクにどんな経験や機会を期待しているかを事前に整理する ・建築家に事前に自分が期待していることを伝える やることはただ、この2つだけです。 これからオープンデスクに参加する方は、 何に期待できるのかが分からないし、 伝え方も分からない、という方が多いと思いますので、 次の頁では、 どんなことに期待する建築学生が多いか、 どのように建築家に伝えるか、 についてまとめていきたいと思います。
オープンデスク

オープンデスクでは何が経験できるの?と思う方へ。僕がオープンデスクで経験してきたことをお伝えします!

以前に、 建築事務所のオープンデスクは、 やらせてもらえる作業も違えば、 積ませてもらえる経験も異なる、 という話をしました。 ただ、 事務所によって違うし色々あるよ! だけだとイメージもしづらいと思うので、 まずは僕がオープンデスクで経験してきたことを列挙したいと思います。 僕は今までに10以上の事務所のオープンデスクに参加してきましたので、 イメージを掴む参考にはなるかと思います。 ●経験してきたこと! □模型作り ・プレゼンのための模型作り ・設計の変更に伴う既存模型の修正 ・模型に貼り付ける素材(テクスチャー)作り ・模型の中に入れる点景(家具など)作り ・模型を保管するための箱作り □CG作り ・プレゼンのためのCG作り ・設計の変更に伴うCGの修正 ・模型に貼り付ける素材(テクスチャー)作り  Photoshopなど使用   □建築家やスタッフとの交流 ・建築家の自邸での飲み会に呼んでいただく ・スタッフの方にランチに誘っていただく ・事務所の中で建築家とスタッフの方々と夕飯を食べる ・オープンハウスの手伝いをした後に建築家とスタッフの方々と打上げをする □お施主さんとの交流 ・施主打合せに同席させてもらう ・上棟式に同席させてもらう ・建物引渡し後のお施主さんとの飲み会に参加させてもらう □現場に行く ・内壁の塗装を手伝う ・現場監理に同行して建設中の建物をみる ・造園家の方が下草を植えるのを手伝う ・三和土(タタキ)を練るのを手伝う □構造家との交流 ・図面作成の補助をさせてもらう ・構造の打合せに同席する □実務作業に触れる ・見積書の内容確認のお手伝い ・省エネ計算について勉強しつつ計算書の作成 ・外部階段や外構など一部プランの提案 ※もっと沢山の経験を積ませていただいてるので、  思い出したら追記していきます。 以上のように、 ほんとにありがたいことに色々な経験をさせていただきました。 ところが、 他のオープンデスクに参加した人の話を聞くと、 模型作り意外は特にしなかった、 という人が多いことに気づきました。 僕が色々な経験を積むことができたのは、 僕がお会いした方々が優しい方々でとても恵まれていたことが1番の理由だと思いますが、 いざスタッフとして働きはじめ、オープンデスクの方に指示を出す機会をもらいはじめると、 オープンデスクに参加したのにあまり多くの機会をもらえないことには原因があるようにも思えてきました。 建築家やスタッフが原因でも、 オープンデスクの方が原因というわけでもなく、 お互い求めていることや与えたいことの共有ができていない、 「ズレ」が生まれてしまっていることが1番の原因であるように思います。 次の頁から、 どうしてその「ズレ」が生まれてしまうのか、 どうしたらその「ズレ」を解消し、 オープンデスクでよりよい経験を積むことができるのか、 僕なりの考えをまとめておこうと思います。
CGをはじめる方向けの予備知識

sketch up はオワコン?と思う方へ。CG初心者と実務に使用するCG作成におすすめのモデリングソフトを紹介します

モデリングをしてみたい! けれどどんなソフトを使用したらいいか分からない。 そんな方のために、モデリングに使用するソフトについてお話しします。 オープンデスクに来ている学生に話を聞くと、 今はrhinocerosを使用する学生が増え、sketch upを使用する学生は減ってきているように感じます。 近年では、建築の案を考える際に、 平面図を書いてから外観の形を考えて行くのではなく、 まず形を考えてCGで作成してから、平面図を作成する学生が増えてきています。 CG技術の向上と普及、ザハハディドのように平面からではなく、いきなり立体から建築をつくる建築家が台頭した影響もあるのではないかと思います。 また、rhinocerosは形をつくる自由度が高く、 Grasshopperというrhinocerosのプラグインを使用することであらゆる形のスタディが複数同時に作れたりするので、 rhinocerosはつくれる形が自由で効率的! 形をつくる自由度が比較的低いsketch upはオワコンだ! そんな風に考える人も多いかもしれません。 但し、僕は決してそうは思いません。 CG作成経験のある学生の設計課題に使えるソフトはどれですか? と聞かれたら、 rhinocerosです。 と答えます。 このソフトであれば、 ある程度は図面も書けるし、形の自由度が高く、設計課題としては、新鮮な案、がつくりやすくなるからです。 実務に使えるCGはどれですか? CGをこれからはじめたい人におすすめのソフトは? と聞かれたら、 断然、sketch upです。 と答えます。 これからその理由を説明いたします。 理由①実務ではCGで形から建築をつくることはほぼない 学生の設計課題で求められるものは、 学生ならではの発想の自由度の高いものや新鮮さですが、 実務の設計でまず求められるものは、 お施主さんの要求を確実に満たすことであり、 その後で、事務所の特色にあったデザインがはじまります。 お施主さんの要求には様々なものがありますが、 住宅の設計にせよ、公共建築の設計にせよ、 求められるものは、 どんな部屋が必要か、 その部屋の大きさは〜以上必要だ、 と面積に関わるものが大きいです。 ふんだんに予算があるプロジェクトであれば可能かもしれませんが、 適切な予算の範囲内で進めるプロジェクトにおいては、 形を先につくり、平面を後から考えていく設計では予算の調整がとても難しくなります。 そのため実務では、平面図を書き、その図面を元にお施主さんの要望を満たしているかチェックを行い、その後にCGをつくっていく進め方が大多数を占めます。 そのためCGをつくる段階では、作図ソフトで作成した図面が手元にある状態であることがほとんどなので、 CGソフトに作図能力が備わっていることは、あまり利点にはなりません。 理由② 実際の建物は複雑な形状でつくられることはあまりない 街を見渡してみてください。 四角や丸以外の自由な曲線でつくられている建物がどれほどあるでしょうか。 どれだけ複雑につくられているように見える建物も、 要素を分解してみると、 四角や丸などシンプルな幾何学で組み合わさってつくられていることが見えてくると思います。 四角や丸など、シンプルな形状でつくられる建物が多いのは、 創意工夫や新鮮さに対する追求が足りなかったからではないと思います。 シンプルな形状が経済的に合理的だから、これが理由の大きな1つだと思います。 自由な立面を謳う近代建築の時代にも、 矩形で構成される建物が多かったのは、 建物は、経済的な制約からはなかなか離れられないからだと思います。 だからこそ、自由な形状に惹かれるし、 挑戦したいという思いは出てくるけれども、 現実に実務の場で行う設計において、 自由な形状をつくることはあまりない、 その事実は知っておくとよいと思います。 そういった理由から、 rhinocerosの、 自由度の高い形状がつくれるという特徴は、 実務の範囲内においてはあまりつよい利点にはならない、とも言えます。 理由③ sketch upは習得が早い スケッチアップをおすすめする最大の理由は、 かなり早くに習得ができるからです。 僕は母校の生徒を対象に、CGのやり方を伝える勉強会を定期的に行っていますが、 みなさん大体2日程度やり方を伝えるだけで、 モデリングができるようになります。 rhinocerosのように、 コマンドが多いソフトではそうはいきません。 CGを習得する上で最も大きな障壁になるのは、 細かい操作の部分でつまづいてしまい、イヤになり、挫折することです。 rhinocerosの自由度の高さは、操作するコマンドが多いことで生まれます。 そのコマンドの多さが、多くの人にとっては、挫折の原因にもなっています。 そのため、まずはsketch upの技術を習得することをおすすめしています。 僕自身は学生の頃にsketch upの技術を習得し、 アトリエ設計事務所に就職後、働きながらrhinocerosの操作を学びましたが、 sketch upでモデリングの特徴は掴んでいたおかげで、 rhinocerosの技術習得はさほど大変ではありませんでした。 習得に時間はかからないので、 どうしてもrhinocerosに憧れている学生も、 sketch upでモデリングの感覚を先に掴むようにすると、 挫折なくCGがつくれるようになるのではないかと思います。 そして実務でCGをつくるようになってから、 sketch upでつくれない建物はほとんどないな、 ということにも気づいていくと思います。 そのためまずは、 sketch upでモデリングをやる方法、を次の頁から記していこうと思います。 実務に即すよう、 無駄なく効率的に、設計変更に耐え得るような方法を、 独学で学びつつブラッシュアップしていった方法なので、 設計課題にも実務にも活きる技術を、短期間で習得できるようになると思います。 モデリングは、 図面データをsketch upに取り込むことからはじめていきます。 sketch upの有料版を使用することで、 図面をモデリングソフト上でかく手間が省けますので、 まずはsketch up Proを購入することをおすすめしています。 作図にかかる時間をなくし、精度の高いCGをつくることができるようになります。 ※レンダリングソフトの購入は、 モデリングの技術を習得してからでも遅くないと思います。 僕自身は独学で学びつつ、プレゼン用CGの作成を繰り返す度にブラッシュアップしたので、 とても時間がかかりましたし、体力もかなり使いました。 この情報を共有することで、皆さんが楽に楽しくCGの技術が習得できるようになることを願います。
CG

CGをはじめよう!けれどまずは何を用意すればいいんだろう、と思う方へどんな種類のソフトがあるのかおすすめを紹介します。

どんな種類のソフトがあるのかおすすめを紹介します。 まずは参考に、 僕が使用経験のあるソフトを列挙します。 学生の頃には、 ・vectorworks(作図ソフト) ・sketch up(モデリングソフト) ・SU Podium(レンダリングソフト) 以前に働いていたアトリエ事務所では、 ・autocad(作図ソフト) ・rhinoceroses(モデリングソフト) ・Enscape(レンダリングソフト) ・Photoshop(画像処理ソフト) ・InDesign(同じくレイアウト用ソフト) 現在働いているアトリエ事務所では ・vectorworks(作図ソフト) ・sketch up(モデリングソフト) ・V-ray(レンダリングソフト) ・Photoshop(画像処理ソフト) ・Illustrator(レイアウト用ソフト) 以上のように、僕はいくつかのソフトの使用経験があります。 これからCGをはじめたい! という人に向けて、 実務に役立つおすすめのソフトについてお話しします。 結論としては、 ①モデリングソフト → スケッチアップ ②レンダリングソフト → V-ray or podium ③画像処理ソフト → Photoshop ④レイアウトソフト → Illustrator or InDesign or vectorworks 以上がいいと思っています。 その理由を次の頁からご説明していきます。
CG

CGで自分の設計案を表現したい!けれどどんなソフトを揃えればいいか分からない、という方へ。

よし、CGをやってみよう! そう思うきっかけは人により様々だと思います。 設計課題がはじまり自分の設計案を表現したい! 就活のアピールになるよう技術を身につけたい! お施主さんへのプレゼン用にCGを導入したい! などなど。 その方の多くは、 リアルなCGを作るために、 どんなソフトを必要なのかが分からない方も多いのではないでしょうか。 まずは、 どんなソフトが必要なのか、 どんな種類のソフトがあるのか、 その説明からしていきます。 CGを作るためのステップは、 ①モデリングをする ・この時点ではリアルなCGにはなりません。 ・建物の形のみを先につくる作業になります。 ↓ ②モデリングしたデータをレンダリングする ・レンダリングを行うことで、影や、仕上げの質感が表現され、リアルなCGになる ↓ ③レンダリングしたデータを画像処理ソフトで加工する ・敷地写真とレンダリングしたデータを合成したり、人や植栽の点景を入れて、リアルなCGの完成 ↓ ④完成したCGをプレゼン用の資料にレイアウトする ざっくりプロセスをご説明すると以上の通りです。 つまり、 ①〜④に必要なソフトを揃えることで、 リアルなCGを作成していくことができます。 安くはないソフトを4種類も集めるのは大変だ、 と思われるかもしれませんが、 ③と④はCGだけでなく他の用途にも使えるソフトですので、 CGのみに必要なソフトは実質2つのみです。 建築の仕事をしていくには、 ①〜④のソフトは必ず使用することになりますので、 ソフトのインストールと、技術の獲得は早いに越したことは無いと思います。 次の頁では、 ①〜④のソフトにどのようなものがあるか、 どのソフトがおすすめかを話していきます。
CG

CGで建築を表現してみたい!という方へ

CGで建築を表現してみたい!という方へ オープンデスクに来てくれる学生さん達とお喋りをしていると、 ほとんどの大学や専門学校では、 2年生ぐらいの頃から設計課題がはじまり、 自分の提案したい設計を、図面や、手書きスケッチ、模型、CGで表現することが求められている、ということが分かります。 ただ、その求められ方も、 あなたのやりたい建築を考えてください! そして、 あなたのやりたい表現でA2の紙にまとめてください! とかなりアバウトなんだな、と感じます。 アバウトな求められ方にも利点はあって、 制約がないからこそ自由に考え試行錯誤する余地が生まれるので、 大学という研究機関においては相応しい課題の出し方とも言えるかもしれません。 ただし、誰もがはじめる時には初心者で、 基本的なやり方が分からなければ試行錯誤するスタートも切れない、 これが実際なのだと思います。 僕は母校の卒業生を対象に、 CGの作り方や模型の作り方、建築法規の整理の仕方を伝える勉強会をたまに開きますが、 皆さんとても貪欲に聞いてくださります。 無駄なく合理的で、 実務に即した実践的な方法を学びたい、 というつよい熱意を感じます。 ただしそんな方たちも、 自由にやっていいよ、の一言だけしかもらえなければ、 どうはじめたらいいか分からない、 とりあえずはじめてみたけど、細かいところでつまづいてしまい進まない。 そういう話をよく聞きます。 貪欲に学ぶ姿勢があって、 学ぶための方法に飢えている方達が、 方法を知らないだけで、 自分は向いてないと思いこみ、 思い詰めてしまうのは、 本当にもったいのないことだと思います。 僕自身も建築事務所で働きはじめてから、 同じような無力感を数年間も抱き続けていたのでとても気持ちが分かります。 だからこそ、微力ながら助けになれたら、という気持ちになります。 一方で、建築家の方達に話を聞くと アトリエ事務所で働こうとする学生が年々減っている。 そんな悲観的な話をよく聞きます。 僕は現役の学生や卒業生とよく会い話をするので、 学生達の現状と、建築家の考える今の学生の像に、 大きな乖離があることを、ここにつよく感じます。 現状は、 建築アトリエ事務所に行きたい学生が「いない」のではくて、 建築アトリエ事務所に行きたいけれど「学び方と就職の仕方」が分からない学生が多くなってる、 というのが正しい理解なのではないでしょうか。 確かに一世代二世代前に比べれば、 アトリエ志望の学生は格段に減り、 経験よりも安定を求める学生が増えてるのは事実だと思います。 物価は上昇しつつも給料は上がらない日本で暮らしていれば。 将来に対して悲観的になり安定を求めるのは自然なことです。 ただ、アトリエ事務所で働きたい学生は依然十分にいるように感じます。 アトリエ事務所で求められる人員は、他の企業比べたら圧倒的に少ないからです。 であるならば、 足りていないのはアトリエ志望の建築学生の「数」ではなくて、 アトリエ志望の建築学生の学びや経験を積む「機会」なのではないでしょうか。 僕自身もアトリエ建築事務所スタッフとして働きながらなので大して時間は取れませんが、 ちょっとでもアトリエ志望の学生が学ぶ「機会」となるような頁をつくれたらと考えています。 アトリエ建築事務所を辞めても、 再度アトリエ事務所に挑戦しなよ、と僕を後押ししてくれた、 尊敬する建築家や友人達への恩返しにも繋がればいいな、と思います。 次の頁から、 まずはCGの話からしていこうと思います。 ●基本的に、、、 □本に初めから取り組むのは時間がかかる取り組み方 ・既に経験を積んでいる人から教わる ・友人と同時に取り組みやり方を教えあいながら進める →そのため昼間部で学んでいる期間が最もCG技術を早く上達する機会になります あと、CGの講義はd.fではあまり教わらないCGのやり方をお伝えすることで、 d.f生のCG能力向上のきっかけになればいいと思い学校への恩返しの気持ちでもやっているので、 これをきっかけにして情報を個人の中に留めず、 皆さんで教えあっていただき他の生徒にもCGの使い方を伝えていただければ幸いです。 ※僕は働きながら本でCG勉強しましたがかなり時間かかるし大変です。
オープンデスク

オープンデスクってそもそも何?という方へ

まずは、オープンデスクって何? そこから分からない方も多いかと思います。 JIA(日本建築家協会)のオープンデスク制度規則の中に、は下記のようなながーい記載があります。※読まなくていいです。 ●公益社団法人 日本建築家協...
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